魔術師マーリン(感想) | ひとりあるき

魔術師マーリン(感想)

こんにちは! あなたのトリコ、あなたもトリコ、白鳥です。

ついにエピソード5まですべて見終えました!
いやもう‥‥喪失感すごい。アーサーものだし最終話のタイトルからして結末はわかってたけど喪失感すごい。でも見られてよかった‥‥! いずれDVDを買うつもりではあったのですが、どうもシーズン3以降は日本語化されていないようなので(吹き替えも字幕も)、今回のこれはとても幸運でした。
そういうわけでシーズン3から字幕が変わるよ。でも面白さは変わらないよ! たぶん!

細かく書きたいのですがまずはざっくり感想をまとめたいと思います。

目次
作品紹介
原作との違い
読み解く
感想

作品紹介

神話と魔法の時代(テロップ通り)
国王ウーサーによって魔法が禁じられた国キャメロット。生まれながらに魔法の才能を持つ青年マーリンは、母のすすめによって宮廷医師ガイアスのもとに身を寄せる。
キャメロットの王子アーサーと出会い、ひょんなことから彼の従者となったマーリンは、正体を隠しつつ、ガイアスやドラゴンの助言を受けながら、アーサーをひそかに守り導いていく。

イギリスに伝わるアーサー王と円卓の騎士の物語をベースに、設定を大胆に変更、再構成した作品。

原作との違い

そもそもアーサー王伝説自体「これが正しい!」というものがあるわけではない(なにせ伝承を寄せ集めたものなので)のですが、一般的に認識されているものはあるわけで、それとかなり違う。
どのへんがどう違うのかをざっくり書き出してみます。()内は一般的(だとわたしが思う)なアーサー王伝説での設定です。
ネタバレも含むから注意してね!

・マーリンとアーサーが同じ年頃
(マーリンは少年のころ、城を建設するための人柱として王に呼ばれている。これがアーサーの父ウーサーが王になる前の話)
・マーリンの両親が人間
(マーリンの父親は夢魔)
・アーサーの父ウーサーが生きており、アーサーは父のもとで育つ
(アーサーは生まれてすぐエクター卿に預けられており、王になる直前までエクターを父だと信じていた)
・モルガーナがウーサーの庇護下にある
(モルガーナはアーサーの異父姉。ウーサーはモルガーナの実母イグレーヌに横恋慕し、モルガーナの実父ゴルロイスに戦争を仕掛ける。結果ゴルロイスは戦死、イグレーヌはウーサーと再婚、モルガーナは尼僧院へ送られる)
・グィネヴィアが庶民
(言わずもがなお姫さま)
・ランスロットも庶民。アーサーと同じ年頃
(ベンウィックのバン王の息子。バン王の死後、湖の姫によって育てられる。年齢はアーサーやグウィネヴィアよりだいぶ下のはず)
・ガウェインも庶民
(ロット王とアーサーの異父姉モルゴースの長男)
・モードレッドがドルイド
(アーサーとモルゴースの子だよ)
・アグラヴェインがアーサーの叔父
(ガウェインの弟だよ!)

‥‥○○が○○ はこのへんにしておこうか、キリがなさ過ぎる。
いよいよエピソードに関わるところに触れるよ。

・魔法が違法
(マーリンはもちろん高名な魔術師である)
・剣のいわれ
(王のみが抜ける剣やエクスカリバーの話は有名だからはしょるよ)
・ランスロットの退場が早い
(アーサーやグウィネヴィアより長生きするよ)
・アーサーとグィネヴィアが相思相愛
(グウィネヴィアとラーンスロットが不倫関係。アーサーももちろん王妃を愛していたけれど、それゆえ見て見ぬふりをしていた感がある)
・アーサーの死
(アーサーはわりと長生きしたよ‥‥)

最後のは正直、実写の限界だよね‥‥ってかんじ。初登場で子どもだったモードレッドが騎士になるくらいには時間が経過しているんだけど、ウーサーの死、つまりアーサーが王位に就いてからはそれほど経ってない。偉大な王といえるほど実績があるかといえばかなり疑問が残る。
でも、このラスト。この国はこれから、大きく変わっていくだろう。マーリンが夢見た、アーサーが目指した国になるだろう。そんな予感がする。

読み解く

感想を述べる前に読み解いておきたい。
原作と違い、ウーサーは長生きしている。ウーサーは魔法を嫌い、魔法使いやドルイドたちを迫害、どんな些細な、よい魔法であっても、見つかれば死刑はまぬがれないほどの暴政が長年続いていた。
そのウーサーが去り、アーサーの代になって数年でアーサーもキャメロットを去るわけだけど、偉大な王の時代があまりにも短い。でもちっともふしぎじゃないんだよね。
原因はほとんどウーサーにある。
ウーサーの暴政によってペンドラゴン家は多すぎる恨みを買ってしまった。自身もそれに加担していたアーサーは、深く反省しながらすこしずつ正していく。けれど恨んでいる側には関係のない話で、とにかくキャメロットを壊したい。
一番の強敵を生んだのもウーサー。ウーサーはキャメロットはもちろん、アーサーを思うがゆえに厳しくしていたけれど、アーサーを滅ぼしたのはほかならぬウーサーだ。
見直してみると、一話でもう魔女がウーサーにこう言っている。「この国にはびこる毒は魔法ではない、おまえだ」――まさにその通りだった。そして毒はアーサーをもむしばんでいた。
もっとも、一番毒されてしまったのは一番の強敵だったわけだけれども‥‥もっと具体的にネタバレをしながら一話ずつ語りたいのだけどまあ取り急ぎこんな感じ。

感想

おもしろい以外になにを言えばいいの!
たくさんの人に見てもらいたい。軽く楽しんでもいい、深く掘り下げて考えてもいい。素晴らしいアーサー王物語でした。
そりゃあいろいろ注文つけたいところはあるけどね! あのラストは寂しすぎてわたしの心が雨模様。
マーリンがねえ、とにかく優しい男なんですよ。普段どんなにいやなやつだと思っていても、危機には助けようとしてしまう。いやしてないな、思わず助けてしまう。そういう人。
アーサーはアーサーで、傲慢! わがまま! 乱暴者! ないやな王子‥‥なんだけど、ふしぎなくらいまっすぐに人を見ている。最悪の出会いでマーリンと大立ち回りをしておきながら「なにかある」なんて認めちゃう人。助けを求められたら立ち上がらずにはいられない人。王子なのに。このへんは原作もそうなんだけれども。
モルガーナもすてき。守られているだけの姫じゃない。この人はこの人で国や民を思っている。後半の変わりぶりはすごかった。

グウェンも‥‥アーサーがグィネヴィアを選ぶ理由がわかりやすくていい。原作だとただ美しいからとか政治的な都合で結婚した感があるんだけど、この作品ではしっかりグィネヴィアという人間に惚れてるんだよね。いい感じになった別のお姫さまを断ってまでグィネヴィアを選んでいる。
アーサーとグウィネヴィアが相思相愛でラーンスロットが退場というと2004年の映画「キング・アーサー」もそうだったんだけど、やはり王妃には王に一途でいてほしいと思うものなのかしら、でも実際そのほうが魅力的に感じてしまうのよね悩ましいところ。
とはいえランスロット含めた三角関係もちゃんと組み込んであるので見てほしい。

ドラゴンはほとんど常に正しい助言をしていたけれど、マーリンはあんまり従わない。マーリンの優しさゆえなんだけど、その優しさはドラゴンにも向けられていて、もう見ていてほんとうにもどかしいし「なんでもっと早く頼らないんだ」とも思ってしまう。頭ではわかっているんだけどね、それが彼なんだ、と。たぶん本人も悔いているだろうしね。
アーサーを見送ってからの彼を思うとほんとうに苦しい。きっとドラゴンの最期の予言を胸に、ずっと待っている。

5シリーズ全65話。かなり丁寧に作り込まれていると感じた。あ、これってあのときの! ってなることが多い。
もう一度、いや何度でも見返したいと思う。

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